フリーランスの編集者をしていると、何より大切なのは仕事の時間配分と効率的に仕事をこなすこと。仕事を効率的にこなせないと、売上が上がらないわけですから、当然ですよね。また、同時に複数のプロジェクトを進行させているので、時間配分も大切です。
今回読んだ本は日本が誇る世界的デザイナーが書いた『佐藤オオキのスピード仕事術』です。常時400のプロジェクトを進行させ、世界的なデザイン賞を多数獲得している著者の仕事のやり方、考え方を学びました。
それでは早速、読んでみて面白かったポイントと方法を書いてみたいと思います。
【目次】
1.本書のメモ
2.面白かったポイント
3.一冊を通しての感想
4.実行しようと思ったところ
5.総合評価
1.本書のメモ
著者
佐藤オオキ
◎―デザイナー。デザインオフィスnedo代表。
◎―Newsweek誌による「世界が尊敬する日本人100」に選ばれる(2006年)。
◎―スターバックス、セブン-イレブン、ロッテ、エステーなど、国内外の世界的企業の建築、インテリア、プロダクト、グラフィックなど様々なデザインを手掛ける。
内容(Amazonより引用)
仕事が速い人ほど成果もすごいのはなぜか。錚々たる企業から依頼が絶えない仕事人のオリジナルな手法&習慣とは。クリエイティブ思考は全ての分野に応用できる!
2.面白かったポイント
2-1 仕事の質はスピードで決まる
佐藤オオキさんは、国内外からたくさんの仕事の依頼があり、大小含め400のプロジェクトを同時並行で走らせているそうです。
なぜ一見無茶なことをしているかというと、そのほうが仕事のパフォーマンスが上がるから、だそうです。
著者が実際に仕事の処理が早いのは、手を動かしたりするスピードが速いのではなく、同時に平行して処理していくことを意識しているから。そしてそのための、工夫と環境づくりが何よりも大切と指摘しています。
2-2 仕事は3つに分けて、3割のバッファをつくる
仕事のスピード高めるために、効率化はかかせませんよね。その代表的なものが優先順位をつけることでしょう。佐藤オオキさんのやっている優先順位付けはシンプル。
「Now」「Later」「Maybe」の3つのフォルダに仕分けます。
「Now」は、3日以内のスパンでやるべきこと。
「Later」は、緊急性はないが、ほおって置くと危機的な自体を招くこと。
「Maybe」は、やらなくても大丈夫だが長期的にはメリットのあること、やりたいこと。
この3つのフォルダに仕事のタスクをどんどん放り込んで、いくそうです。
そして、仕事のバッファを3割つくるといいます。
つまり、3割位余裕を残した仕事の入れ方をするそうです。そのほうが、緊急事態にも対応でき、仕事のペースを乱されずに済むとのこと。
2-3 やりかけの仕事は必ず終わらせる
佐藤オオキさんは、脳のメモリーをムダにしないことを大切にしています。具体的には「やりかけの仕事はつくらず、必ず完結させているそうです。たとえば、仕事を途中まで進めて、違う仕事に取り組んだり、別の用事に取り掛かると、その間も頭のなかに常に要件がよぎり、脳のメモリーを消費しますよね。
だから、手を付けたらその仕事は必ず終わらせる。もしくは、自分の手から離れた状態にする。そうすることで、常に脳をフレッシュに保っているそうです。
また、スキマ時間の使い方も、そのスキマ時間で終わることしかしない、とのこと。たとえば、時間が5分しかなければ中途半端になる仕事をするのではなく、5分以内に終わる仕事(メールチェックやメール返信など)だけをするそうです。
2-4 情報のインプット日とアウトプット日を分ける
これも脳のメモリーを消費しないため話でした。
ミーティング→アイデアを考える→作業する→打ち合わせする……など、方向性のまったくことなる作業が交互に発生すると脳は疲れてしまいます。そこで佐藤オオキさんは、インプット(打ち合わせや情報収集)の日と、アウトプット(実作業)の日を分けることにしたそうです。
たとえば、「情報をインプットする日」「アイデアを考える日」「人と話をするなどでアウトプットする日」など。そうやって「何をやる日」かを決めてしまうことで、脳のパフォーマンスを最大化しているそうです。
2-5 「自分以外の人がやったほうがいい仕事」は受けない
そもそも、パフォーマンスを上げるには、やらないという選択肢を入れること。仕事の断捨離ですね。佐藤オオキさんがやっているのは、「自分以外がやったほうがいい結果が出る仕事は断る」というもの。
“受けるべきでない仕事を早い段階で断ることは、全体のスピードをアップさせる上で重要なこと”
と書かれています。たしかにその通りで、これもすぐに実践できそうですね。
2-6 大切なのは選択肢を「2つに絞る力」
決断を早くするためには、数多くある案やアイデアを2つに絞ることだといいます。
佐藤オオキさんは、まず問題解決(デザイン)を行うにあたって、選択肢を広げることをするそうです。
A案、B案、C案、D案、E案……と、あらゆるアイデア案を出し、そこから2つに絞る。選択肢がたくさんありすぎると、決断は遅くなるばかり。そのためにまずは2つにする。
そのときのポイントは「長所が最も大きいもの」で、かつ「方向性が全く異なるもの」だそうです。
2つの案には、比較すると長所と短所がそれぞれあるはずですが、そもそもどちらも「長所が最も大きいもの」という条件をクリアしている案なので、失敗となるリスクは減らすことができると言います。
2-7 「10年後にやりたい仕事」は今すぐやる
佐藤オオキさんは、若手デザイナーにはいつもこうアドバイスするそうです。
「今は目の前にある仕事をこなしつつ、いつか夢を叶えたい」という人は、今すぐ取り組む必要があるといいます。
たとえば、今ある仕事をこなす、と考えている人は無難なデザインに落ち着くそうです。そして、それが続けば周りの人からは「この人は無難なデザインをする人」というイメージがついてしまうと。そうなると、10年後、特別な仕事を依頼してくれるクライアントはいなくなるでしょう。
「自分が携わった仕事は、自分の未来を左右する」というフレーズもぐっと来ました。日々何をするか、何をつくるかが、将来の自分を形作り、その先の未来にも影響がでてくるのです。
3.一冊を通しての感想
タイトルに著者名が入っている珍しいビジネス書というだけあって、佐藤オオキさんの仕事のやり方、考え方、どういう判断基準を持っているかなどがものすごくオープンにかかれていました。
それが実際nendoによるプロダクトとして形になっているものをみると、単なる読書体験とは違う感動がありました。
「スピード感を意識して仕事をする、そのための方法はオレはこうやってるよ」という気持ちいい語り口にほれぼれしました。
正直、表紙に著者の写真が大きく入っているビジネス書が珍しくて買ったのですが、読んでみてビジネス書のジャケ買いも楽しいもんだなと思いました。
著者の顔入りビジネス書は買う価値ありかもしれません。
使えるところもいっぱいでしたしね。
4.実行しようと思ったところ
・やりかけの仕事はつくらない、毎回完結させる
・脳の負担を意識し、負担をかけない生活を意識する
・仕事のタスクを「Now」「Later」「Maybe」の3つに振り分ける
・3割程度のスケジュールの余裕を組んでおく
・インプット(打ち合わせ、情報収集)の日とアウトプット(作業など)の日を分ける
・複数ある選択肢は、「長所が最も大きく、方向の全く違うもの」の2案に絞るクセをつける
・10年後やりたいことには、今すぐ手を付ける
5.総合評価
★★★☆