仕事のクオリティやスピードを上げたいと思うことありますよね。
今回読んだ本は、メモの使い方ひとつで、仕事の質とスピードを上げられると銘打たれた『すごいメモ。』(かんき出版刊)です。
著者はコピーライターの小西利行さん。伊右衛門をはじめとする数々のCMやブランディング、クリエイティブを手がけられてきた方です。
では早速、読んだ上でのポイントをまとめていきたいなと思います。
【目次】
1.読む前メモ
2.面白かったポイント
3.一冊を通しての感想
4.実行しようと思ったところ
5.総合評価
1.読む前メモ
著者
小西利行(こにしとしゆき)
◎―POOL inc.代表、コピーライター、クリエイティブ・ディレクター、劇作家、絵本作家
◎―京都出身。大阪大学卒業後、1993年博報堂入社。2006年POOL inc.を設立。
◎―主な仕事に、サントリー「伊右衛門」「ザ・プレミアム・モルツ」、トヨタ「もっとよくしよう」、ライザップ、プレイステーション4キャンペーンなど。
◎―一風堂の国内&世界戦略プロデュース、吉野家、バーニーズ・ニューヨークなどのブランディングも手掛ける。
内容(Amazonより引用)
企画、アイデア、プレゼン、会議、こんな使い方があったんだ!サントリー「伊右衛門」ほか数々の名作CM・ヒット商品を量産してきた魔法のメモ術を初公開!著者のおともだち、伊坂幸太郎氏のメモ術も掲載!
その他
出版社:かんき出版
項数 :256ページ
判型 :四六判並製、右綴じ、縦書き
種類 :ビジネス書(仕事術、メモ術、アイデア術)
2.面白かったポイント
2-1 メモは腐る。「メモを取る」から「メモを使う」へ
新人の頃はメモを取りなさい、と教えられることが多いかと思います。しかし、メモをとっても結局見返すことが無かったり、後で読んでも意味不明だったりすると、徐々にメモを取らなくなります。これを著者はメモが腐ると言っています。メモには鮮度があり、徐々に腐っていくものである。メモを腐らせないための方法が、本書で述べられるメモ術なのです。著者はメモを取る本当の効果をこう述べています。
では、メモの本当の効果とは何か? それは「考えるきっかけ」をつくることです。
メモを使えなかった経験のある人は、メモが腐っていたのです。
未来の自分が見返して、ヒントになったり、メモの意図がわかったり、当時何を考えていたのかがわかるようなメモの書き方をする必要がある、ということです。
「過去メモ」から「未来メモ」にしていきます。
2-2 「すごいメモ」の型は3つ
「まとメモ」「つくメモ」「つたメモ」
基本はこの3つの型で書かれています。
「まとメモ」とは、まとめるメモ。情報整理し、未来メモに替える技法です。
「つくメモ」とは、つくるメモ。アイデア出し、発想のためのメモ技法です。
「つたメモ」とは、つたえるメモ。プレゼンやコミュニケーションのためのメモ技法です。
この3つの中に、14のメソッドとして、小西さんが実践しているメモの方法が紹介されます。
2-3 人生をかえる14のメソッド
2-3-1 メソッド1 3つのマルをつける
打合せや会議などで、マルを3つだけつけるものです。とっちらかったメモでも、これだけで重要なポイントがわかるようになる。
2-3-2 メソッド2 →矢印でつなぐ
矢印は「情報の秩序を生むもの」。間違えてもいいから情報や流れを矢印でつなぐ。間違っていてもいい。とりあえずつけてしまうと、流れが見えてくる。すると未来のメモになるとのこと。
2-3-3 メソッド3 ?△☓☆⇔記号を使う
情報を整理する上で使えるのが記号。著者が特に使うのが「v.s」。対立や競合を示すものとして、一気にメモの見え方が変わるという。
2-3-4 メソッド4 吹き出し
メモに吹き出しで一言つける方法です。「こう考えてね」「ここを解決してね」という未来への自分、後で見たときにつかえるよう吹き出しでメッセージを送る。
2-3-5 メソッド5 デジメモ検索
デジタルツールを使ったメモ。強みは検索なので、検索を意識してタグ、メモをつくるとのこと。
2-3-6 メソッド6 ハードルメモ
思考のフレームは何かしらハードルがあったほうが、越えようと働き出すとのこと。だから一定のルールや目標、課題を設定することで、考えやすくなる。
2-3-7 メソッド7 マンガメモ
人やモノを簡単なマンガにすることで、アイデアやイメージが湧いてくるメモに変わる。すぐにできるイラストの描き方まである。
2-3-8 メソッド8 ブラック三角メモ
隠れニーズとウリをマッチングさせるメモ術。黒い三角形で、マッチングを見つけることができる。
2-3-9 メソッド9 ホワイト三角メモ
100個のアイデアを出す、大量のおもしろいアイデア出しをするときのメモ術。
2-3-10 メソッド10 つなぎメモ
思い浮かんだことを□→□→でどんどんつないでいくメモ。もんもんと考えるより、思考の流れが視覚化でき、考えが生まれてまとまる。
2-3-11 メソッド11 あまのじゃくメモ
原因と結果を逆にして考える。たとえば、「自社がやることではなく、他社が嫌がること」「女性の商品なら、女性のタブーから考える」など。
2-3-12 メソッド12 見出しメモ
場所、人・モノ、行為でキャッチコピーをつくる。面白くて、伝わる見出しをつくる。
2-3-13 メソッド13 ズメモ
図にするメモ。視覚に訴えるメモのほうが、人にも伝わるし、自分が見返しても伝わる。図にできないか、図にしたほうが伝わりやすいかを考える。
2-3-14 メソッド14 スピーチメモ
一行メモで相手の興味を引きながら、話せるメモ術。興味と関心を引く一行メモはベストセラー書籍が参考になる。
3.一冊を通しての感想
文句なく面白かったです。そして使えると思います。メモの本自体、「そもそもメモの仕方っているか?(必要か?)」とうがった見方をしていたので、いい意味で驚きました。目から鱗が落ちるとはこのことかもしれません。
この本は、実践型のビジネス書なので、「すぐに使ってみたくなるか」が重要なのですが、その点では満点かもしれません。すぐに試してみたくなるメモばかりです。14のメソッドを、むずかしくない、ゆるい文体で伝えてくれている本なので、メソッド本でありながら、おもしろく、なるほど!と思いながら読めると思います。
私も気がつけば、メモの本を読んで、たくさんメモしていました。
個人的に使えそうだったのは「つくメモ」。アイデア出しはもちろん、ハードル化による考えるメモや、黒三角メモは、ビジネスをしている人なら皆使えると思います。あまのじゃくメモも、新しい発想を生み出すための方法として、かなり使えると思いますよ。
この本を通してそうなのですが、小西さんの描いたゆるいイラストがいい感じではいっていて、わかりやすさのアクセントになっています。マンガメモと図メモの重要性が、この本を読みながらまさに伝わってくる感じですね。
最後に小説家の伊坂幸太郎さん対談も面白いです。伊坂幸太郎さんのメモも公開されているので、いろんな方のメモを見たい方、小説家のプロの頭のなかが見たい方は、楽しめるんじゃないでしょうか。
メモは未来の自分への気付きを与えるものであり、思考のツールでもあることを再認識しましたね。メモが楽しくなりそうです。
4.実行しようと思ったところ
・未来の自分に伝えるつもりで、メモやノートを書く
・アイデア出しや問題解決時には、ハードルを課す(ハードルメモ)
・ノートやメモに情報をまとめる際、視覚化(設計ズ)やマンガ、吹き出しを使う
・仕事の情報整理やアイデア出しの際、黒と白の三角形メモ、あまのじゃくメモを使う
5.総合評価
★★★★(満点)
文句なく面白かったです。そして使えます。メモの本なんてつまらない、メモなんて使えないと思っている人にほどおすすめです。